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ニュース論評

ニュース論評 – せっかん死

1994年8月8日の日刊「しんぶん赤旗」に「エホバの証人「せっかん死」事件を考える」というコラム記事が掲載されました。(http://www.jwic.info/abuse.htm からご覧になれます)

この報道は1994年当時の日本のエホバの証人の体罰に対する見方をよく示しています。ものみの塔出版物には子どもを死に追いやるような体罰を推奨するような文面は存在しません。しかし報道記事の内容を見ると「おしりを打つためのムチ棒は、長老夫妻から渡されました」とされており聖書研究生に対して体罰に対する指導が地域によっては組織的に行われていたことを示しています。

そして死に至る「せっかん」を与えてしまった原因が宗教的な考え方にとらわれてしまったことにあることが裁判記録から明らかになっています。

この報道の中で「教理解説書」とされているものは1979年発行の「あなたの家族生活を幸福なものにする」と題する書籍を指しています。この本の144頁には「子供たちの場合も,少しの間家族から仲間はずれにするのは,おしりをたたくよりも効果的なことがあります」と書かれています。続く部分には「しかし,家にかぎをかけて子供を締め出すような極端な処置は,愛から出た行為とは言えないでしょう」と言葉が付け加えられています。

このレポートの中にはエホバの証人の子どもの教育に関する問題点の一つを明らかにしています。エホバの証人には独特な「しつけを急がねばならないという事情」があることが記されています。この「事情」は、しつけの本来の目的である子どもの健全な発育に目を向けることを妨げる要因になっているに違いありません。

エホバの証人「せっかん死」事件を考える – 「赤旗」1994年8月8日

若い夫婦の体罰で、4歳の二男が死亡した事件の判決が7月29日、広島地裁でいい渡されました。夫婦はものみの塔(エホバの証人)の熱心な信者。事件にも「信仰」が強くかかわっていました。シリーズ「現代こころ模様」のいっかんとして、この事件を考えてみました。

事件(別項)に至るまで、夫婦は二男の「過食」に悩みぬいていました。 家でも外でも、手当たり次第に盗み食いし、落ちている物まで口に入れようとする。裁判資料によれば「精神的過食症」、つまりストレスを解消するための方法を食べ物に向ける症状だと見られています。

何とかしなければ、最初はおしりを打っていたのが、頭も顔も打つようになり、食べ物を制限してみたり、逆に好きなだけ与えてみたり、倉庫に閉じ込め、縁側にしめ出す。その時間も長くなり、冬の夜間にも及ぶ。…しつけのつもりの体罰がエスカレートしたすえの痛ましい事件でした。

”体罰は子の命を救う”と

児童虐待。核家族化や人間関係の変化で、相談する相手も失った「社会病理」。事件後、マスコミでもさまざまな指摘がされました。

同時に、裁判を傍聴し、関係者の話を聞いて強く感じたのは、やはり「信仰」の重み。体罰によるしつけが、「過食」というものに関する無知に加えて、夫婦が当時信仰していた宗教と深く関連していた」(弁護人最終弁論)からです。

すべて、ものみの塔の教義と、二人が所属していた会衆の長老夫妻(別項)の指導によるものでした。

ものみの塔は、子育てを「訓練」と位置づけ、「体罰は子どもの命を救う」「細棒をもってあなたは彼をたたくべき」(教理解説書)と教えます。おしりを打つためのムチ棒は、長老夫妻から渡されました。ムチ棒のかわりにビニールホースを使ってもよいことや、食事を制限したり、閉じ込めたり、しめ出したりするのも同じ。すべて「少しの間家族から仲間はずれにするのは、おしりをたたくよりも効果的」(前掲書)などという教理にもとづく助言でした。

しつけを急がねばならないという事情もありました。ハルマゲドンという、この世の終わりを告げる最終戦争が迫っている。そのあとにくる神の楽園に生き残るには、エホバの証人として神の律法を守っておかねばならない。子どもを正しく育てるのもその一つだからです。「悠長に備える時間はない。緊急を要することだと教えられた」と、夫は証言しています。

反省の状況を見て執行猶予

そして、エホバの証人以外の人々はサタン(悪魔)の支配下にあるから深く交わってはいけないという教え。そのため夫婦は「広く適切な助言を受ける機会を全く閉ざされていた」(最終弁論)。

エホバの証人の訪問伝道に接して以後、とくに夫は証人たちの“温和な”人柄にひかれ、自分もそうなりたいと努力していたそうです。「夫はがまん強くなり、二男にたいしても感情だけで接してはいなかった」と妻。二男も父親になついていたそうです。

それだけに、なおつらい。もし、外部の人ともかかわっていたら、過食について医師の助言を受けたり、児童相談所などを訪ねることができていたら…と。

被告人である夫も、証人として出廷した妻も、ともども「教えにたいし未熟だった」「生活が宗教一筋になってしまっていた。いろんな人と知り合い、考えていかなければと、いま思っている」と証言しました。

事件に至る事情や反省の状況を見て執行猶予をいい渡した裁判長は、被告にこう語りかけました。「子どもの成長を気長にみて、周囲の人の意見にも耳を傾けながらやってほしい」。

この事件と判決について、宗教法人ものみの塔聖書冊子協会は、本紙にたいし「コメントを控えさせていただく」とのべています。

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事件と判決 昨年11月、当時4歳の二男が無断で夕食を食べ散らかして いたため、父親(27)が足でけり、おしりや顔面をビニールホースで殴り、裸にして縁側にしめ出し、水を浴びせて一晩中放置し、凍死させた。判決は、検察側主張の傷害致死罪を退け、暴行罪と保護責任者遺棄致死罪を適用、懲役3年、執行猶予4年とした(求刑は懲役4年の実刑)。
会衆と長老 ものみの塔(エホバの証人)の末端組織が会衆。数十人単位の信者<洗礼をうけた証人と未洗礼の研究生>で構成し、これを指導するのが長老(官僚の男性信者)。

2 コメント

  1. 裕梨

     その裁判の傍聴に長老と呼ばれる夫婦は一度でも来たのですか?
    彼らは、今多くいる人を殺しても罪の意識を抱かない少年犯罪者と
    何ら変わらないのではないでしょうか?
    長老と呼ばれる夫婦や宗教組織は、この件に関して何かコメントを
    出したのでしょうか?
    自分たち以外は神から疎外された邪悪な世の人々、サタンの支配下の
    人というが、やっていることはサタンそのものではないでしょうか?

    • アノニマス

      当時、長老夫婦は何って言ったと思いますか?
      「不幸な事件が起きた・・・。今後一切Aの家には近寄らないように」と。
      自分がこの若い夫婦に直接むち打ちを伝授してその結果このような取り返しのつかないこと至ったにもかかわらずですよ。

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