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わたしは父を憎んでいません

17歳の時にボーイフレンドを持ったことでタビタ・ブロウナーは父親から拒絶された。それ以来互いに会うことはない。

実の父親が過去8年もの間自分の娘に会おうとしないと聞いたら,多くの人はその娘がどれほど父親に不敬な態度をとったのだろうと想像するでしょう。しかし現在25歳のタビタ・ブロナーの場合は違います。

「わたしは父を愛せずにはいられません。自分に何も見返りを与えない人を愛するというのはとても辛いことです」とタビタは語ります。

http://www.bt.dk/underholdning/tabita-broener-jeg-kan-ikke-hade-min-far

デンマークで2008年に公開された映画「To verdener」(別たれた世界)の脚本はタビタ・ブロウナーが17歳のときに起きた出来事をもとにして作られました。タビタさんはBT誌のインタビューに答えて自分自身と自分の父親について説明しています。

タビタさんはデンマークの田舎町に住むごく普通の女の子でした。それでもエホバの証人の家庭に生まれたということで特異な子供時代を送っています。

例えば小学生のとき,オリエンテーションの時間の先生が子どもたちに「クリスマスについて」という主題でプレゼンテーションをするように言いました。タビタさんは聖書を片手に皆の前に立ち,クリスマスを祝うクラスメートが偶像礼拝者で嘘つきであることを示しました。彼女は当時のことを笑いながらふりかえります。「あの時はみんなのクリスマスの雰囲気をぶち壊してしまったと思います」「今の私にとってはクリスマスは伝統行事,家族が愛情を示すとき,寒い季節の喜びのひと時にすぎません」

彼女が17歳のときに転機が訪れます。一人の男性を好きになりました。そのことはすでにくすぶっていた彼女の思いを実行するきっかけになりました。それは組織と決別することです。しかしそれは同時にお父さんから別れを告げられることにもつながりました。

お父さんからの決別の言葉を語られてから一年が過ぎたころ,タビタさんは何事もなかったかのようにお父さんを訪問することにしました。するとお父さんは困惑した様子で「君がここに来たのは利己的だ」と言いました。愛情深い娘の訪問をなぜ利己的だと言うのでしょうか?それはお父さんが信者でなくなった娘を忌避しなくてはならないという宗派の掟を守る妨げになるからです。

「私は父に敬意をもっています。しかし父が自分自身の人間性までも犠牲にしていることを哀れに思います。」と彼女は語ります。

「怒りや憎しみは感じないのですか」とBT誌は尋ねました。

「怒りは愛と密接に関わっています。しかし父を憎むことはできません。私は父の行動がわかりすぎるくらいわかるのです。なぜなら私もエホバの証人の一人だったからです。確かに困惑と怒りを感じます。私に示されたものは冷淡で非人間的でした。私が子どもを持つとしたら,彼らは同じことは経験しないでしょう。」

彼女は数年前にお父さんに決して送付することはない幾つかの手紙を書きました。ただ気持ちを表現するためです。

「私はお父さんをどれだけ愛しているかを手紙で伝えるべきか今でも悩んでいます。」

 

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