エホバの証人研究

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ダニエルの70週

ダニエルの70週とアルタクセルクセスの第20年

はじめに

この特集ではエホバの証人のダニエルの70週の預言の解釈について取り上げています。しかし預言の解釈自体の説明は省略します。おそらく現在のエホバの証人の方であればすでに「聖書は実際に何を教えていますか(2005)」の付録からこの点を学んでいることでしょう。必要であればエホバの証人の公式サイト(JW.org)からご覧ください。http://wol.jw.org/ja/wol/d/r7/lp-j/1102005151

ものみの塔は「ダニエルの70週」(ダニエル 9:25)に関して、歴史的に確証されている年代とは矛盾する年代を割り当てて読者に説明してきました。それにも関わらず、ものみの塔は大胆にも以下の言葉で自分たちの解釈の正しさを指摘しています。

*** 聖書は実際に何を教えていますか 199ページ ***
「歴史家たちは,アルタクセルクセスが丸1年統治した最初の年が西暦前474年であることを認めています。」

ところが現代の一般の歴史家(宗教的な特定の動機をもつ人を除いて)、さらに古代の歴史家、それに加えて1世紀のユダヤ人やクリスチャンの著述家のどこを見ても、誰一人として ものみの塔と同じ年代を割り当てている人はいません。新約聖書が書かれた当時の歴史家でもアルタクセルクセスの第1年を西暦前474年、そして第20年を西暦前455年に相当する年代として割り当ててる人はいないのです。むしろ古代の歴史家も現代の歴史家もアルタクセルクセスの第1年は西暦前464年、第20年は西暦前445/444年に当てはまる年代計算を提示しています。

では上記のものみの塔が「歴史家たちは・・・認めています」とする記述は何を意味するのでしょうか?アルタクセルクセスの第1年に西暦前474年を割り当てた最初の人物は17世紀のフランスのイエズス会士の学者であるペタビウスです。ペタビウスの動機は歴史家としてのものではなく、キリスト教の預言の成就を調整するという宗教的なものでした。確かに17世紀のペタビウスから19世紀の前半まで幾人かの人がペタビウスのクリスチャン的な歴史解釈と同じ内容のものを書き記しています。しかしそれらはすべてキリスト教の宗教的な動機を土台にするもので、純粋な歴史家としての立場のものではありません。しかしそれから時がたち、19世紀後半から20世紀にかけての「考古学上の発見により、そのアイデアはことごとく間違いが証明されて崩れている」というのが現状です(異邦人の時の再考 ジョンソン 2004年 82頁参照)。

それで前述のものみの塔の文面は読者に誤解を与えるものであり、読者に対して誠実なものとは言えません。少なくとも現代の一般の歴史家(宗教的な動機がないという意味で)の中でアルタクセルクセスの第1年が西暦前474年であるとしている人はほぼ皆無だからです。

しかし考古学的な証拠にも関わらず、エホバの証人は相変わらずこの年代を支持しています。今回ここで提示する内容は現役のエホバの証人にとってはショックとなる事柄も含まれていることでしょう。それは自分たちの信じていた内容が間違いであったことが示されることよりも、ものみの塔協会が自説を読者に納得させるためには、非常に不誠実な方法を使っているという事実を知ることになるからです。

特集として掲載する内容は主にカール・オルフ・ジョンソンの「異邦人の時の再考 第四版 付録」の情報です。ジョンソンが取り上げる ものみの塔協会が「考古学的根拠」としている内容は洞察の本の第2巻「ペルシャ,ペルシャ人」の項目にまとめられています。JW.ORG – 洞察,第2巻 ペルシャ,ペルシャ人

ものみの塔の主張する年代と一般の年代の違いは以下の図と通りです。
artaxerxes_chart

ダリウスが36年間統治したこととクセルクセスが21年間統治したことは否定しがたいことなので、その点をものみの塔は否定していません。しかしアルタクセルクセスの第20年を自分たちの聖書解釈に合わせるために10年分を「共同統治」としてずらすことにより年代を調整しています。

10年の「共同統治」が明確な歴史的な記述として残されていないこと自体が不自然な話ですが、洞察の本の中でものみの塔協会は状況証拠らしいものをもっともらしく見えるように読者に提示しています。しかし以下の記事をすべてお読みいただければ、協会がいかに断片的な資料を切り張りして読者を不誠実な仕方で納得させようとしているのかがわかることでしょう。

記事

1.クセルクセスは父親ダリウスの共同統治者か?

2.テミストクレスの亡命に関する記述

3.アルタクセルクセスの「50」と「51」年の二つの粘土板

天文学的に確証されたアルタクセルクセスの統治

上記記事は主にカール・オルフ・ジョンソンの「異邦人の時の再考 第四版 付録」から

協会の不正な引用 – ヘロドトス

オリンピアード年代と「ものみの塔」の引用

ヒエロニムスのエウセビオス年代記と「ものみの塔」の引用

記事の終わり

3 コメント

  1. アバター

    ボブ

    現在エホバの証人です。この記事を読んで、愕然としています。今まで信じてきたことが偽りで、作りあげて信じ込ませるよう仕込まれたものであつたとは、組織に忠実に従ってきたのも、仮面をかぶった偽物クリスチャンだったのですね。この真実を明らかにするために、今裁判中の新聞の記事の切り抜きや、裁判の証拠となる記事の切り抜きなど(英語版)を送って頂けたら嬉しいです。無理を言ってすいません。駄目でしたら結構です。
    仲間の証人も救いたいので宜しくお願いいたします。

  2. アバター

    通りすがり

    歴史家がそういってると言ってるだけで組織がそういってる訳ではないのに…
    読解力の問題?

    • アバター

      caleb

      問題のポイントを理解されていないように思います。
      歴史家はアルタクセルクセスの第一年を何年と述べていて、エホバの証人の組織は何年と述べていると理解されているのですか?

      コメントを見る限り、この記事の要点を理解されていないように思います。

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