ものみの塔協会の特別全時間奉仕者(ベテル奉仕者、巡回監督とその妻、特別開拓者など)は清貧の誓いに署名するように求められます。これはカトリック教会の修道院で古くから用いられてきました。ものみの塔協会は2000年に宗教法人としての構造に変更を加え、特別全時間奉仕者を新たな宗教法人であるエホバの証人の特別全時間奉仕者団(Religious Order of Jehovah’s Witnesses)の成員として組み込みました。ものみの塔聖書冊子協会に加え、新たに以下の宗教法人が設立されました。

*** km 1/02 p. 7 New Corporations Formed ***
Christian Congregation of Jehovah’s Witnesses
Religious Order of Jehovah’s Witnesses
Kingdom Support Services, Inc.

王国宣教はこれらの宗教法人の設立理由について以下のように説明しています。

*** km 1/02 p. 7 New Corporations Formed ***
Such entities or corporations are necessary to conform to local and national laws, as required by God’s Word. (Rom. 13:1)

このような法人は地元と国内の法律に合わせるために必要であり、神の言葉でも従うことが求められています。(ローマ 13:1)

上記の通り説明されていますが、実際には宗教法人の登記は法律で求められているわけではありません。それは協会が免税待遇を受けるために必要なだけです。そこで働く奉仕者は「従順と清貧の誓い」に署名して提出することにより宗教団体から生活費をまかなわれる聖職者としての扱いを受けます。このような「誓い」はカトリック教会の修道院などで古くから行われているものです。

しかし王国宣教の中で、協会が「ものみの塔聖書冊子協会」とは別に新たに3つの法人を設立する必要があるのか、その理由は説明されていません。

誓いの内容

英文は以下のサイトに掲載されています。

http://www.jehovahs-witness.net/jw/friends/106721/1/Bethel-Vow-of-Poverty-documents-scanned

以下の内容は2002年版英文からの訳です。

エホバの証人の特別全時間奉仕者団に対する
従順と清貧の誓い

エホバ神に全く献身した叙任された奉仕者として、わたしはここに世界的なエホバの証人の特別全時間奉仕者団(以下、団体)の一人であることを認め、厳粛な願いを表わします。わたしは次の点を誓います:

  1. この団体の成員である限り、簡素に生活し、団体の成員の中で伝統的に守られているように、物質主義的生活を避けます。
  2. 預言者イザヤの霊感による言葉に示されている精神(イザヤ 6:8)および詩編作者の預言的な表現(詩編 110:3)に基づき、王国の関心事を推し進めるために団体から与えられる割り当てがどのようなものであっても、どこにおいても自発的に奉仕いたします。
  3. 団体の成員に対する神権的な取り決めに柔順を示します。
  4. 全時間の自分の割り当てに最善を尽くします。
  5. 団体の許可を得ない限り、世俗の仕事を避けます。
  6. わたしの生活に必要な出費を超えた全ての収入は、どんな仕事や個人の努力によってもたらされたものでも、団体によるこの誓いから解かれない限り、団体の地元組織に移譲いたします。
  7. わたしの責任や奉仕の価値がどれほどのものであったとしても、わたしが奉仕する国において、団体が成員に支給するもの(食事、宿舎、払戻金、その他)を受け入れます。
  8. わたしは団体の中で奉仕する特権を得ている限り、団体からいただく少額の払戻金に満足いたします。そして自分で団体を離れる際、あるいは団体の中で奉仕する資格がもはやないと団体によって判断された際には、さらなる支払いをなんら要求いたしません。(マタイ 6:30-33; テモテ第一 6:6-8; ヘブライ 13:5)
  9. 神の霊感による言葉、聖書が示す原則、エホバの証人の出版物に記されている事柄、そして団体が与える方針を順守し、エホバの証人の統治体の指示に従います。
  10. そして、わたしの成員としての立場に関して、団体が与えるどんな指示でも喜んで受け入れます。

日付_____________         署名_____________

 

上記の清貧の誓いの対象になっているのは、「世界的なベテル家族の成員、宣教者、特別開拓者、巡回監督とその妻、大会ホール監督とその妻、インターナショナル・サーバント、王国会館建設サーバント」など、ものみの塔協会から物質的な支給を受けて生活する人です。

この誓いの6番の項目に関しては、別紙に説明が記載されています。そこでは奉仕者が貯金や所有物を手放すことが求められているわけではなく、銀行利子や賃貸料などの収入は自分のものとして蓄えられること、そして友人からの贈り物として与えられる金銭を貯蓄することは自由であることが記されています。

この「清貧の誓い」は出版物にも掲載されていますが、その内容や目的などは詳しく書かれていません。

*** 告 18章 295ページ 『王国を第一に求める』 ***
ある人たちは,世界的なベテル家族の一員として奉仕しています。ベテル家族は,聖書文書を準備して出版する仕事,必要な事務を行なう仕事,そのような業務を支えるサービスを行なう仕事など,どんな仕事を割り当てられてもそれを自発的に行なう全時間奉仕者たちで成っています。それは,個人として目立った存在になったり,物質の所有物を得たりするための仕事ではありません。その人々はエホバを敬うことを願っており,食物や宿舎,また個人的な出費を賄うためのささやかな払い戻し金として与えられる備えに満足しています。ベテル家族の生き方のために,例えば米国の世俗の権威は,彼らを清貧の誓いをした聖職者とみなしています。

 

記事の終わり