南極の氷床が示す真実
南極やグリーンランドなど過去に降り積もった雪が氷床となって積み重なっている場所が多くあります。それらのエリアから選ばれたポイントにおいて特別な掘削機によって下に向かって掘り進み、氷床を円柱状(コア)にくり抜いて行う「氷床コア」の研究が続けられています。切り出された氷床コアからは過去の大気成分や水の成分を取り出すことができるため、長い年月における気象変動などを知る貴重な手がかりになっています。
以下の写真は北グリーンランドの氷床の様子です。氷床に二つの隣接する穴を掘り、掘ってできた二つの空洞の間には薄い壁を残しています。氷の壁の向こう側からライトを照らすと観察する側には綺麗な層が浮かび上がっています。(参照)
しかし氷床の年代のカウントは単に目で見て1年分をカウントしていくだけのものではありません。現代では様々な客観的なデータによって年代を測定することが可能になっています。(参照:ものみの塔の間違い – 劇的な寒冷化)
氷床コアプロジェクトによる調査からは高い精度の結果が出されています。そして気象変動のデータは優に数万年を超えるところまで確認することができるため、聖書が示しているとされる紀元前2370年(ものみの塔による年代)において世界が水に覆われるような大洪水が本当に起きたのか否かは容易に確かめることができるようになっています。しかも「全天下の高い山々がことごとく覆われる(創世記 7:19)」状態になった大洪水から水がはけるまで1年ほどかかっているので、南極やグリーンランドの氷床に明確な事象を示す証拠を残さないで済むことは不可能です。
では行われてきた研究の結果はどうなったでしょうか?グリーンランドにおける研究、そして南極における研究、いずれの場合も同じ結果が示されました。今から4千数百年前の紀元前2370年頃に世界的な洪水は起きたことを示す証拠は1ミリもありません。その年代の前も後においても急激な気象変化は見られず、エホバの証人が期待するような地球の大変動は存在しませんでした。
口を閉じてしまった「ものみの塔」
ものみの塔協会は科学者が行っている南極の氷床コアの研究について、今から40年前の1977年に言及していました。
*** 目77 7/8 19ページ 南極大陸,世界最大の“冷蔵庫” ***
今日,南極大陸は科学者のための研究所と呼ぶことができるでしょう。地質学者は膨大な厚さの氷層の下に何が横たわっているかを知るために研究を続けています。
ところが1977年の言及を最後に、その後の研究の結果や成果については具体的な言及を避けています。 本来であればそれ以降に出された研究の成果こそが重要な意味を持つはずですが、氷床コアの研究による過去の気象変動の調査結果について「目ざめよ!」誌が何も語っていないのは不自然です。
参考サイト
日本語による氷床コア研究のわかりやすい解説は以下のサイトからご覧いただけます。動画解説や絵などが豊富です。 国立極地研究所の解説サイト |
日本でも確認できる証拠
紀元前2370年に世界的な大洪水がなかったという点で南極とグリーンランドだけが例外なのではありません。この日本においても日本列島を覆いつくすような大洪水は起きていないという明確な証拠があります。その一つの例は福井県にある水月湖(すいげつこ)の年縞です。この場合の年縞とは湖の底に数千年、数万年の間にたまった堆積物からできる薄い層の模様のことです。水月湖は年縞ができるための多くの条件が整っているため過去7万年にさかのぼって1年ごとの綺麗な層を確認できています。何が明確になっているでしょうか?それは過去に何度か地域的な洪水や火山噴火、地震に見舞われた跡があるもののBC2370年に世界的な大洪水が起きた跡は何もないということです。この点ではドイツのアイフェル地方やベネズエラのカリアコ海盆、イタリアのモンティッキオ、中国の龍湾などで見つかる年縞についても同じです。
参考サイト
水月湖 年縞についての解説 「水月湖 年縞」ハンドブック |
記事の終わり
コメントを残す