1969年の「目ざめよ!」誌に「若い人にはどんな将来がありますか」と題する記事が掲載されました。 これを読んだ当時の若者は、今は初老になり老後の設計あるいは自分の家族の切り盛りをしている年齢であることでしょう。 当時の若者は「自分が老人になることは決してない」と考えていました。以下の文面を見るとその理由を理解することができます。

目ざめよ!1969年8月8日号 15頁
「若い人々はまた、現在のこの事物の体制の下で年配に達することは決してないという事実を直視しなければなりません。どうしてそう言えますか。なぜなら聖書予言の成就という証拠はすべて、この腐敗した体制があと数年のうちに終わることを示しているからです。・・・・ゆえに、若い人々はこの体制の差し伸べるいかなる立身出世の道を決して全うすることができません。もしあなたがいま高校生で、大学教育をこころざしているとすれば、大学を卒業して、専門的な職業に携わるには少なくとも四年、場合によっては六年もしくは八年もかかるでしょう。しかしこの事物の体制はその時までにどうなっているでしょうか。もし実際に過ぎ去っていないとすれば、ほとんどその終わりに達しているでしょう!」

上記の記事の英文のコピーはこの投稿の一番下の埋め込み画像から見ることができます。

子供たちへのメッセージ

記事の全体を見ると、この記事はエホバの証人の子供たちを対象に書かれているということがわかるでしょう。
その中には小学生、中学生、高校生の若者たちが含まれています。上記の記事は要約すると「今は大学教育をうけるべき時ではない」という内容のものです。

では、この記事のいくつかの特徴を考えてみましょう。

まず記事の冒頭で「アメリカ合衆国の調査報告によると1968年に犯罪件数が17%という異様な増加を見せた」という話から始まります。「若い人にはどんな将来がありますか」という冒頭の言葉と1年間で犯罪が17%も増加したという言葉に合わせて、若い読者がここである種の不安の念を抱く書き方になっています。

それに続いて冒頭に引用した言葉が続いています。「若い人々はまた、現在のこの事物の体制の下で年配に達することは決してないという事実直視しなければなりません」という言葉です。

そしてマタイ23:34の言葉を引用し、続いて大学に行くのは無駄であるという結論に話が展開します。

親たちへのメッセージ

この記事の中でものみの塔協会は、その子供たちの親に対してもメッセージを送っています。
それは「神の預言の言葉に合わせている親」であれば、子供たちに余分な教育を受けさせるよりも、「大工仕事、配管工」などに従事させて「神の新秩序でも役に立つ仕事」に子供たちをつかせるべきであるというメッセージです。

もちろん、これらの言葉はエホバの証人に対して強制する言葉ではありません。

しかし続く文面はこうなっています。

確かに、自分たちが時の流れのどの場所にいるかを神の観点から理解することができていない人たちは、この提案は実際的でないと唱えることでしょう。

まるで、この助言に従えない人間は「不信仰」であるかのような言い回しです。

結論

あなたが当時のエホバの証人の若者であったらどのように感じたでしょうか? また子育てをしている親の立場であったらどうでしょうか? この記事は1969年に掲載された記事です。この頃から1970年代にかけて同様の内容の記事が繰り返し提供されることになります。

この時期にエホバの証人の指導者に疑問を抱いて組織から離れていった人は「動機が悪かった」「エホバ神との関係が弱かった」と当時の状況を知らない現在のエホバの証人は考えています。
そう考えるように「ものみの塔」が励ましてきました。
(これについては別の記事として投稿する予定です)

あなたはどのように判断されますか?
記事の終わり

参考資料: Awake! 22 May 1969 (日本語:目ざめよ!1969年8月8日号)