ノアの洪水の前は地球が巨大な天蓋に覆われ地球全体が温暖だったという話

「ものみの塔 1968年10月15日号」はアダムの創造からノアの洪水まで地球全体が温暖であったと教えています。その「温室内の効果」によって雨が千年以上降らなくても世界中の植物が生きていけたと述べています。

ものみの塔1968年10月15日p611

確かにそのとおりです!」という表現に意気込みを感じる。原理主義的なクリスチャンはとんでもない主張でも気合で乗り切ることが多い。

では「ものみの塔」が述べている過去の気象変動の話は本当なのでしょうか?以下に示す客観的な証拠からすると全くの誤りであることが理解できます。

δ18Oの値で明らかになった過去の気温

18Oとは酸素の安定同位体と呼ばれるものの一つです。この18Oの比率(δ18O)は雪が降る地域周辺の気温と連動することが知られています。。「氷床の年代は正確 – 酸素同位体による年代カウント」の中で説明した通り、δ18Oの値を利用してグリーンランドでは冬季に降る雪とそれ以外の雪の違いを識別して年周期を割り出すことができています。この原則は長期にわたる過去の気温にも当てはまります。グリーンランドでは過去に積もった雪の安定同位体の比率(δ18o)はそのままの状態で保存されているため、氷床から切り出したコアを解析することで、古代の気温の変動を再現することができます。まずは以下のグラフをご覧ください。(*1)

 

 

氷床のデータが示している通り、4300年前(ノアの洪水)、6000年前(アダムの創造)の付近を見ても全くδ18Oの値に大きな変動が見られません。これは当時大きな気象変動が何もなかったことを示しています。エホバの証人はノアの洪水以前は地球は温暖であったと唱えていますが、上記オレンジ色のラインが示している通り、約1万年より前の年代にはむしろ今より寒冷な時代があったことを示しています。

 

記事の終わり

 

*1 データは米国 NOAAサイトの gicc05-holocene-20yr.txt を利用